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ロシア語との出会いから現在まで ゴーシャ

《 ペンネーム 》 ゴーシャ


冬のバイカル湖
冬のバイカル湖

外国語の勉強が面白かったので外語大を目指した

私は1982年、高校2年の夏休みが終わった後、高校に行かなくなった。1983年春より外国語を勉強しようと思い立ち、当時NHKのテレビとラジオでやっていた語学講座の全て(英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、そしてロシア語)を視聴し始めた。外国語を勉強することはなぜか楽しかった。2年ほどそういう生活をした後、やはり大学には行きたくなり、当時少し有名になりつつあった大学入学資格検定試験というものに挑戦し、運よく一度で大学入学の資格を取得できた。そして外国語大学への入学を目指した。授業料のこともあったのでできれば国公立に行きたいと思った。神戸市外大という選択肢もあったが、ここは2次試験で社会の科目が必須であり、合格は難しいと考えた。それで偏差値の難易度は上がってしまうが、2次試験で英語と小論文だけという大阪外国語大学を受験することにした。小学生時代から文章を書くのが嫌いで作文の時間はいつも40分間呆然と時が過ぎるのを待ちつつ白紙の原稿を先生に提出していたような少年ではあったので小論文などまともに書けるはずはないのだが、社会の科目で受験するよりは何とかなるだろうと考えたのである。


ロシア語と一生付き合うこととなる決断

大阪外大を受験することに決めたが、どの外国語を選択するかでまた迷った。一番やりたいと思ったのはドイツ語だったが、この学科は偏差値が少し高い。ならばということで2番目に面白いと思っていたロシア語学科を受験することにした。そして奇跡的に一度の受験でロシア語学科に入学することができた。(通常より2年遅れての大学入学であったが)

ロシア語が2番目に好きだった理由は実に単純で、その文字に神秘性を感じたからだった。今まで見たこともない不思議な文字に魅かれた。もしかすると当時のテレビロシア語講座でのキリル文字の紹介の仕方がうますぎたのかもしれない。神秘的な音楽にのせながら一文字ずつゆっくりと文字が現れては消えていくシーンをいまだに懐かしく思い出す。


ロシア語の喫煙所の表示(シベリア鉄道)
ロシア語の喫煙所の表示(シベリア鉄道)

当時の授業はあまり厳しくなかった

大学ではまあまあ真面目にロシア語を勉強していた方だと思う。しかし、4年間専攻で勉強したのに、ロシア語を使いこなせるまでにはならなかった。当時の大阪外大ロシア語学科はそれほど厳しい学科ではなかったのだ。今世の中にはいろいろとロシア語に関する文献があるが、その著者を見ると早稲田大学、東京外国語大学、上智大学、東京大学などの出身者が多数を占め、大阪外国語大学出身者の書籍はマイナーなものが少しあるだけである。卒業生としては少々寂しい。今は大阪大学に吸収されそこの外国語学部として存続しており、状況は少々違うようであるが。(留年も珍しくないくらい厳しくロシア語をしこまれているらしい。彼らの今後の活躍に期待したい。)


当時のロシア語学習環境

また、今の学生には想像できないだろうが、当時は生のロシア語音声に触れる機会もあまりなかった。授業ではテープなどが流され聞くことができるが、それ以外は会話集などに付属している値の張るカセットテープを購入するか、雑音を我慢しながら短波放送でロシア語の放送を聞くくらいしかできなかった。今はユーチューブでもポッドキャストでもロシア語が聞き放題で非常にうらやましい時代である。


ロシア語を生かせる仕事から無関係な仕事への転職

大学を卒業したあと一応はロシア語を生かせる仕事にしばらく従事していた(ロシア貿易関連)。しかし、駐在するチャンスがなかったこともありロシア語はほとんど上達しなかった。ロシア語が話せない上司と二人でロシア出張に行ったときは、通訳がうまくできずよく怒られた。勉強しなければならないという状況にいると、ロシア語の勉強そのものが面白くなくなっていった。その後ロシア語とは全く縁のない業界に転職し、ロシア語に触れる機会も全くなくなった。


再びロシア語に目覚める

転職して10年以上経ったころ、取引先の社長さんと食事をする機会があった。そのとき昔ロシア語を勉強したことがあるという話をしたら、その方がしきりに「絶対にもったいない。是非勉強を続けるべきだ。」と熱心に私にロシア語の勉強を勧めてくださった。そんなにもったいないことなのかなあと最初はあまり気乗りがしなかったが、そこまで言われるならと軽い気持ちでロシア語の勉強を再開した。仕事で必要だからではなく、単なる趣味としてロシア語を勉強してみると昔に戻ったみたいで実に楽しかった。

それから8年ほど経つが、今も毎日ロシア語の勉強を楽しんでいる。あの社長さんには感謝しなければならない。

ちなみに今の実力はどれくらいかというとロシア語能力検定の2級は合格したものの1級にはなかなか受からないというレベルで、まだまだ先は長いという感じだ。


[ ご挨拶  ] ゴーシャ

ロシア語の勉強が趣味の社会人です。ロシア語が好きなのでロシアという国にも当然興味があり、今までもいろんなロシア人との交流もありました。私が出会ったロシア人たちはいい人が多く、世間一般のロシアへの暗いイメージは持たずにすんでいます。誤解があるといけないので一応言っておきますが、ロシア語が好きだからと言って、今のロシアという国や体制を支持しているというわけでは決してありません。ただ、いつか、何らかの形で日本とロシアの関係が良好になって欲しいということは思っています。